春の体調不良、その原因は?薬剤師が教える原因と今日からできる対策

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春の体調不良、その原因は?薬剤師が教える原因と今日からできる対策

「新生活が始まったばかりなのに、なぜかずっと体がだるい」

「夜は眠れず、朝は鉛のように頭が重い……」

病気というほどではないけれど、言いようのない辛さを抱えたまま、答えのない毎日を過ごしていませんか?

実際、4月から5月にかけて、こうした切実な声がぐっと増えます。

それは単なる疲れではなく、この季節特有のいくつかの要因に関係しているかもしれません。

春の不調は「自律神経の乱れ」の一言で片付けられがちですが、実はもっと根深い理由が隠れています。

その「本当の背景」と「今日から使える対策」を、わかりやすく解説します。

【注意事項】
本記事は情報提供を目的としており、医師・薬剤師による診断・治療の代替となるものではありません。
症状が続く場合や気になることがある場合は、医療機関または薬剤師にご相談ください。

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春に体調を崩す人が多いのはなぜ? 代表的な3つの要因

「自律神経が乱れているせいかな?」と思われがちですが、そこだけを見ていてもなかなか体は楽になりません。

春の体調不良では、代表的な要因として、

①環境変化に伴うストレスや睡眠不足
②花粉症などアレルギー症状
③気温差の大きい時期の身体的負担

が考えられます。

また、原因は一つとは限らず、複数の要因が重なることもあります。

一つずつ見ていきましょう。

「自律神経の乱れですよね?」とよく聞かれます。
完全に間違いではないのですが、それだけを見ていると対策が的外れになることがあります。
まずは「何が起きているのか」を一緒に整理してみましょう。

要因① 環境変化によるストレスと睡眠の質の低下

入社、転職、転居、クラス替え——4月は人生の節目が一気に押し寄せる季節です。

厚生労働省「こころの耳」では、新しい職場や人間関係に入ること自体が大きな環境変化であり、ストレス要因になりうると整理されています。

頑張ろうという気持ちが強い人ほど、自分でも気づかないうちに心身を消耗させてしまうものです。

そして見落とされやすいのが、睡眠への影響。

厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、成人の推奨睡眠時間は概ね6〜8時間とされており、睡眠不足が続くと日中の眠気・疲労・頭痛・集中力の低下が生じることが明記されています。

また、令和6年国民健康・栄養調査では、「20歳以上で1日の平均睡眠時間が6時間未満の者」は男性41.3%、女性38.4%にのぼることも示されています。

「春のだるさ」の背景に睡眠不足が隠れているケースは決して少なくありません。

要因② 気づかれないまま悪化する「花粉症」の全身症状

「花粉症は鼻炎でしょう? 体のだるさとは関係ないのでは」と思っているとしたら、それは大きな誤解です。

花粉症は鼻や目の症状だけでなく、頭痛・だるさ・微熱感・睡眠障害・倦怠感など、全身に影響を及ぼすことが厚生労働省の資料「的確な花粉症の治療のために」でも示されています。

薬局でよくあるのが、「最近なんか疲れやすくて…」と滋養強壮剤を求めてこられた方が、よく話を聞くと花粉症の症状が出ていた、というケース。

全国疫学調査2019では、スギ花粉症の有病率は38.8%、10代では49.5%にも達します。

つまり、春の不調の背景に花粉症が関わっている可能性は「稀なこと」ではなく、むしろ「よくあること」なのです。

「花粉症は持っていないつもりだった」という方が、実は長年気づかないまま過ごしているケースも珍しくありません。
「春だけだるい」という方は、一度アレルギー検査を受けてみるのも良いかもしれませんね。

花粉症は鼻・目だけでなく、喉や肌にまで影響することがあります。
「熱はないのに喉がイガイガする」という方は、こちらの記事もあわせてどうぞ。

要因③ 気温差の大きい時期に起こりやすい身体的負担

4〜5月の気候は、日によって最高気温が10℃以上変わることも珍しくありません。

この大きな気温差に対応しようと、体は体温調節のために多くのエネルギーを消費します。

結果として自律神経(交感神経と副交感神経のバランス)に負担がかかり、疲労感や頭痛、肩こりといった症状が出やすくなることがあります。

ただし重要な点として、こうした症状の原因を「自律神経の乱れ」と断定することは避けるべきです。

似たような症状は、貧血・甲状腺疾患・感染症・うつ病など、別の疾患でも起こりえます。

あくまで「可能性の一つ」として捉えておくことが大切です。

あなたの症状、チェックしてみましょう

以下の項目、いくつ当てはまりますか?

□ 朝起きても疲れが取れない、体がだるい
 
□ 日中、強い眠気がある
 
□ 夜、なかなか寝つけない・途中で目が覚める
 
□ 頭が重い・頭痛がする
 
□ 食欲がわかない
 
□ 以前より集中力が続かない
 
□ 理由もなくイライラしたり、気分が落ち込む
 
□ 鼻づまり・くしゃみ・目のかゆみがある
 
(このチェックはあくまで参考であり、診断ではありません。)

気になる症状が複数あるようなら、生活習慣の見直しや花粉対策を試しつつ、症状が続く場合は医療機関や薬剤師に相談してください。

特に症状が2週間以上続く・日常生活に支障が出ている場合は、自己判断せず早めの受診をおすすめします。

目のかゆみ・充血・乾きが気になる方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

「五月病」との違いと、受診を考えるタイミング

よく耳にする「五月病」。

実はこれ、医学的な正式な病名ではありません。

新生活や環境変化のあとにみられる心身の不調を指す「通称」であり、背景にはストレス反応、不眠、抑うつ状態などが含まれることがあります。

生活が落ち着くにつれて少しずつ楽になっていくこともありますが、注意してほしいのは症状の「内容と期間」です。

気分の落ち込み、何事も楽しめない感じ、食欲や体重の変化、不眠や過眠、疲れやすさ、集中力の低下——こうした症状が2週間以上続き、仕事や生活に支障が出ているなら、うつ状態が疑われるため、早めに専門家に相談してください。

「自分の気持ちが弱いせいだ」なんて、決して自分を責めないでください。

心療内科や内科を頼ることは、自分を守るための前向きな選択肢です。

今日から実践できる対策 睡眠・食事・生活習慣

1. 睡眠の質を上げることが、すべての土台

いろいろな対策がありますが、まず最初に見直すべきは「睡眠」です。

健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、成人は6時間以上の睡眠確保が推奨されています。

ただ、忙しい新生活で時間を増やすのが難しいなら、せめて「質」だけは徹底的にこだわりたいところ。

お風呂のタイミングを味方につける

厚労省の睡眠ガイドでは、就寝の約1〜2時間前に入浴して身体を温めてから寝床に入ると、入眠しやすくなるとされています。

体温がいったん上がり、その後スッと下がる過程で、脳が自然とリラックスモードへ切り替わります。

「光」のコントロールで脳を休ませる

同ガイドでは、就寝の約2時間前以降に強い光を浴びると、睡眠ホルモン(メラトニン)の分泌が抑制され、入眠を妨げる可能性があるとされています。

スマートフォンやタブレットを寝室に持ち込まず、照明を落として過ごすだけでも、眠りの入りやすさが変わってきます。

「寝酒」という落とし穴に注意

「寝つきが悪いから一杯だけ」……そんな習慣がある方は、少し注意が必要です。

日本睡眠学会のガイドラインでも明示されていますが、眠るための飲酒は実は睡眠の質を大きく下げてしまいます。

アルコールは入眠を早めてくれますが、夜中の眠りを浅くし、中途覚醒の原因になります

翌朝の「ひどいだるさ」は、実はこの一杯が招いているのかもしれません

「お酒を飲んだほうが眠れる」とおっしゃる方は多いです。
でも実際は、アルコールが抜けた深夜以降に眠りが浅くなりやすい。
翌朝の疲労感の原因がそこにあることも少なくありません。

「市販の睡眠補助薬を使ってみたい」「翌朝だるくならない薬を知りたい」という方は、こちらの記事も参考にどうぞ。

2. コンビニでも揃う、食事で内側からサポート

忙しい新生活の真っ只中、自炊に時間をかけるのは難しいもの。

ただ、コンビニでの「選び方」を少し変えるだけで、栄養の偏りを防ぎ、体調を内側から支えることができます。

厚労省の睡眠ガイドでも、生活習慣全体の見直しの一環として食事の大切さが示されています。

特定の栄養素が不調を直接治す、というわけではありませんが、バランスよく食べることが心身の調子を整える土台になります。

意識して取り入れたい食品として——

たんぱく質源(肉・魚・卵・大豆製品・乳製品)は体の修復や神経機能に関わる栄養素を含みます。

コンビニならおにぎりの具材に「鮭」や「ツナ」を選んだり、温豆腐やギリシャヨーグルトをプラスするのもよいでしょう。

ビタミンB群を含む豚肉や玄米マグネシウムを含むナッツ類・海藻類も、栄養の偏りを防ぐ意味で意識したい食品です。

「完璧な栄養バランス」を目指して疲れてしまっては本末転倒。

まず一品だけ、意識して選ぶ「60点の積み重ね」が、ストレスを最小限に抑えつつ体を少しずつ立て直してくれます。

集中力や記憶力の低下が気になる方には、睡眠と栄養の関係を解説したこちらの記事もおすすめです。

3. 通勤中・オフィスでできる気温差・ストレス対策

「3つの首」を守るレイヤード

春の気温差は、体に想像以上の負担をかけることがあります。

対策は、脱ぎ着しやすい「重ね着(レイヤード)」が基本。

特に首・手首・足首の「3首」を冷やさないようにすると、太い血管が守られ、体温調節がスムーズになります。

ストールや薄手のカーディガンを一枚カバンに入れておけば、屋外の冷え込みや、意外と冷えるオフィスの空調にもすぐ対応できます。

お昼休みの「15分日光浴」

余裕があれば、昼休みに10〜15分ほど外に出て、太陽の光を浴びてみてください。

日光には体内時計をリセットし、セロトニンの分泌を促すとされる効果があります。

外に出るのが難しければ、窓際で外を眺めるだけでも気分の切り替えにつながります。

詰まったときの「4・8呼吸法」

「なんだか緊張しているな」と感じたら、その場で深呼吸を。

4秒かけて鼻から吸い、8秒かけてゆっくりと口から吐き出す。

吸うときよりも「吐くとき」を長く意識することで、副交感神経が優位になりやすく、高ぶった神経が落ち着きやすくなります。

花粉症による不調には 市販薬の正しい選び方

「眠くなりにくい薬」の意外な落とし穴

花粉症の薬選びで、多くの方が最も気にされるのが「眠気」ではないでしょうか。

最近主流の「第二世代抗ヒスタミン薬」は、昔の薬に比べて眠気が出にくいものが増えています。

ただ、「眠くなりにくい=誰でも安全に運転できる」というわけではないのが、注意が必要なところです。

PMDAの情報を確認すると、同じ「第二世代」であっても製品によって「服用後、乗物または機械類の運転操作をしないでください」と明記されているものが少なくありません。

自分のライフスタイルに合った成分を選ぶ

花粉症の市販薬を選ぶとき、じつは「眠気への影響度」によって添付文書上の記載が3段階に分かれています。

これを知っておくだけで、薬選びの精度がぐっと変わります。

区分添付文書の記載代表的な成分・製品例
🔴 運転禁止「危険を伴う機械の操作には従事させないように注意すること」クロルフェニラミン(パブロン鼻炎薬・ストナリニZなど市販感冒薬全般)
ジフェンヒドラミン(レスタミン・ドリエルなど)
🟡 運転注意「危険を伴う機械を操作する際には注意させること」セチリジン(ジルテックEX)
エピナスチン(アレジオン)
オロパタジン(アレロック)※処方薬
ルパタジン(ルパフィン)※処方薬
🟢 運転制限なし運転に関する記載なしフェキソフェナジン(アレグラFX)
ロラタジン(クラリチンEX)
デスロラタジン(デザレックス)※処方薬
ビラスチン(ビラノア)※処方薬

特に注意してほしいのが「🔴運転禁止」の区分に入る第一世代抗ヒスタミン薬です。

クロルフェニラミンやジフェンヒドラミンは、市販の鼻炎薬・総合感冒薬に広く含まれていながら、脳内への移行率が高く強い眠気を引き起こします。

添付文書でも例外なく「自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないように」と明記されており、「道路交通法第66条では、薬の影響により正常な運転ができないおそれがある状態での運転が禁止されています。

眠気を起こしやすい成分では、服用後の運転は避けるのが安全です。」

「鼻炎薬を飲んで運転していた」とおっしゃる方は本当に多いです。
パッケージに小さく書いてある「服用後は乗り物の運転をしないこと」という注意書き、見落としがちなので、ぜひ手に取ったらまず確認してみてください。

「眠い薬の方が効くのでは?」は誤解です

「眠くなる薬の方がよく効く」と信じている方が多いのですが、これはよくある誤解です。

スギ花粉症患者を対象にした研究では、運転注意のセチリジン・エピナスチン・運転制限の明示がないフェキソフェナジンを比較しても、花粉症への効果に統計的な差は認められませんでした角谷ら、アレルギー2006)。

つまり、眠気が少ない薬を選んでも、アレルギーへの効果は同等です。

また、「眠気の自覚はない」のに集中力・判断力・作業効率が低下する「インペアード・パフォーマンス」という現象も知っておく必要があります。

第一世代抗ヒスタミン薬では、ビール1,000ml相当の判断能力の低下が生じるとも報告されており、仕事中に「なんとなくミスが増えた」と感じる原因になっていることもあります。

仕事・運転の機会が多い方へ 選び方のポイント

⚪︎ フェキソフェナジン(アレグラFXなど):
添付文書上、運転に関する注意記載がない成分の一つ。
脳内への移行率が低く、パイロットの操縦能力にも影響しなかったという報告もあります。
ただし、個人差があるため服用後に眠気を感じた場合は運転を避けてください。

⚪︎ロラタジン(クラリチンEXなど):
同じく運転制限の記載がない成分。
医療用添付文書ではプラセボと比較して運転・機械操作能力への有意な影響は認められていません(PMDA資料)。
1日1回服用で利便性が高い点も特徴です。

なお、市販薬では入手できないビラスチン(ビラノア)やデスロラタジン(デザレックス)も運転制限なしの処方薬として選択肢に挙がります。

「市販薬でコントロールが難しい」と感じたら、医師への受診も検討してみてください。

各成分をより詳しく比較したい方は、当ブログの解説記事もご参考にどうぞ。

新しい薬を手に取るときは、パッケージや添付文書を必ず一読し、ご自身の生活スタイルに合っているかを確かめてください。
「自分の場合はどれが合っているか」と迷ったときは、薬局の薬剤師に気軽にご相談ください。

花粉の「取り込み量」を減らす物理的な対策

マスクと眼鏡の併用で侵入を大幅カット

薬によるケアも大切ですが、それ以前に「花粉を体内に入れない」という物理的な対策も非常に有効です。

厚生労働省の資料「スギ花粉症について日常生活でできること」では、鼻の中の花粉数の例として、対策なしの1,848個に対し、花粉症用マスク・花粉症用眼鏡の併用で304個とされており、この例では約84%の減少が示されています。

「内服薬を増やす前にできること」として、まずはこの物理的なブロックを徹底してみましょう。

帰宅後のひと手間で室内への持ち込みを防ぐ

外出先から戻ったときの習慣も、夜の快適さを左右します。

厚生労働省資料では、帰宅後の手洗い・うがい・洗顔・洗髪で花粉を落とすことが推奨されています。

また、玄関に入る前に衣服を軽く払い落とすことで、家の中への持ち込みをさらに減らすことができます。

こうした「薬に頼りきらない工夫」を組み合わせることが、体への負担を最小限に抑える近道になります。

こんなときは迷わず受診を 病院に行く目安

セルフケアの限界を見極める「5つのサイン」

市販薬や生活習慣の改善で様子を見ていても、症状が改善しない場合は専門医の力が必要です。

以下のいずれかに当てはまる場合は、我慢せずに医療機関を受診してください。

・ 症状が2週間以上続いている
・ 仕事・学業・日常生活に明らかな支障が出ている
・ 強い眠気・頭痛・気分の落ち込み・強い不安が続く
・ 発熱や激しい咳など、感染症の疑いがある
・ 市販薬を使っても症状が改善しない

症状に合わせて「何科」に行くか決める

「どこに行けばいいかわからない」という場合は、主な症状に合わせて窓口を選びましょう。

  • 目や鼻の症状がメインなら→耳鼻科(耳鼻咽喉科)やアレルギー科
  • 不眠・ストレス・気分の落ち込みが続くなら→内科や心療内科

「病院に行くほどではないかも……」と迷うときは、近くの薬局で相談してみるのも一つの方法です。

適切な受診先や、今の状況に合ったセルフケアのアドバイスをもらうことで、解決への糸口が見つかるはずです。

「受診するほどじゃないと思って…」という方ほど、実はしっかりケアが必要なことも多いです。
迷ったときは、ぜひ薬局に立ち寄ってみてください。一緒に考えます。

まとめ 春の体調不良は「知ること」から始まる

春の体調不良の背景には、

①環境変化によるストレス・睡眠の質の低下
②花粉症などアレルギーの全身症状
③気温差の大きい時期の身体的負担

——これらの要因が複数重なっていることがあります。

「自律神経の乱れ」という言葉で一括りにせず、自分の症状の背景を知ることで、対策は格段に的確になります。

睡眠を整える、食事の偏りを防ぐ、服装で気温差をカバーする。

どれも難しいことではありません。まず一つだけ、今日から試してみてください。

そして、セルフケアで改善しない場合は「もう少し様子を見よう」と我慢せず、早めに専門家に相談することが、結果的には新生活を長く元気に続けるための近道になります。

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