鼻血がよく出る大人へ!原因は?病院に行く目安と正しい止め方を解説

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鼻血がよく出る大人へ!原因は?病院に行く目安と正しい止め方を解説

「最近、鼻血が増えた気がする」——そう思いながら、なんとなく様子を見ていませんか?

大人の鼻血は、多くのケースで深刻な病気が原因ではありません。

ただ、「よくあること」と片付けていい鼻血と、そうでない鼻血があるのも事実です。

鼻血が出るたびに「これって大丈夫ですかね…」と小声で聞いてくださる方が、思いのほか多いんです。

不安を抱えたまま帰すのは申し訳ないので、正確に、わかりやすくお伝えします。

※本記事は一般的な健康情報です。診断や治療の代わりになるものではありません。
症状が強い場合や不安がある場合は、耳鼻咽喉科などの医療機関にご相談ください。

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鼻出血の7〜8割は、鼻の入り口に近いキーゼルバッハ部位から出る

「キーゼルバッハ部位」——聞き慣れない名前の、超重要な場所

「鼻血がよく出る」と聞くと、何か大きな病気を想像してしまう方も多いのではないでしょうか。

でも実際には、鼻出血の7〜8割は、鼻の入り口近くにある「キーゼルバッハ部位」と呼ばれる小さなエリアからの出血です(参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会)。

この部位がなぜそんなに出血しやすいかというと、構造上の問題です。

毛細血管が非常に密に集まっているうえ、粘膜が薄い。

鼻をかむ、乾燥する、無意識に鼻をこする——そんな日常的な刺激だけで、あっさり傷ついてしまいます。

鼻血は生涯で約60%の人が経験するとされており、そのうち実際に医療機関での対応が必要になるのは6〜10%程度と報告されています(参照:PubMed)。

つまり、「出た」こと自体はそれほど珍しくはないのですが、「繰り返す」「止まりにくい」となると、話が変わってきます。

「大人になってから増えた」は、気のせいではないかもしれない

子どもの頃はあんなに出ていたのに、大人になって落ち着いたはずの鼻血が、また増えてきた——そう感じている方も、チラホラいらっしゃるんじゃないでしょうか?

原因の一つは、加齢による粘膜の変化です。

年齢とともに鼻の粘膜は薄くなり、潤いを保つ力も落ちていきます。

さらに、長時間のエアコン環境による室内乾燥が重なると、キーゼルバッハ部位の粘膜がじわじわと傷みやすい状態になっていきます。

おまけにもう一つ、見落とされやすいのが「花粉症の治療を始めたタイミングと鼻血が増えたタイミングが重なっている」ケース。

これについては、次の章で詳しく触れますね。

花粉症の治療薬は種類が多く、眠気・副作用の出方も成分によって異なります。 薬選びに迷っている方は、こちらの記事も参考にしてください。

「ただの鼻血」では済まない場合もある——見落としたくない原因

高血圧と鼻血——関連はあるが、因果関係は単純ではない

「高血圧だから鼻血が出やすい」という話を聞いたことがある方は多いと思います。

この点について、統計学的な研究では高血圧と鼻出血には有意な関連が示されています(参照:OR 1.532、PubMed)。

ただし、同研究は関連が因果関係を直接支持するものではないとも述べており、「高血圧だから鼻血が出る」と単純に言い切れるものではありません

ただ、高血圧があると出血が「止まりにくくなる」可能性はあります。

また、動脈硬化によって血管がもろくなったせいで、出血しやすい状態をつくることも考えられます。

鼻血そのものが高血圧の「直接的なサイン」とは言いきれませんが、頻繁な鼻血を機に「そういえば最近、血圧を測っていなかった」と気づくきっかけにしていただけると、薬剤師としては少し安心します。

その鼻血、もしかしてお薬の影響では?

薬局で働いていると、「薬を飲み始めてから鼻血が出るようになった気がする」と話してくださる方も、たまにいらっしゃいます。

でもその感覚、あながち間違いではありません。

特に注意が必要なのが、抗凝固薬(血液サラサラの薬) の服用者です。

ワーファリンは、アピキサバンやリバーロキサバンなどの血液をサラサラにする他の薬と比べて、臨床的に問題となる

鼻出血の発生率が高かったと報告されています(参照:ワルファリン vs アピキサバン HR 4.22、vs リバーロキサバン HR 2.26、PubMed)。

また、花粉症治療で使われる点鼻ステロイド薬でも、プラセボと比較して鼻出血リスクが高くなると示されており(全体の相対リスク1.48)、薬剤間でもリスクに差が示唆されています(PubMed)。

すべての点鼻ステロイドが同程度に危険というわけではありませんが、使い始めてから鼻血が増えた場合は、この可能性を頭に入れておく必要があります。

点鼻薬の種類や正しい使い方については、こちらの記事で詳しく解説しています。 「毎日使っているのに効かない」と感じている方にも参考になります。

ただし!ここで絶対に守ってほしいことがあります。

「薬のせいかもしれないから、今日は飲むのをやめておこう」という自己判断は、非常に危険です!

特に抗凝固薬を突然やめることで血栓リスクが高まることがあり、PMDAの重篤副作用対応マニュアルでも、自己判断での減量・中止は明確に戒められています。

薬をやめれば鼻血が止まるかも」と自己判断される方が時々いらっしゃいます。
でも抗凝固薬を急に止めると、血栓のリスクが跳ね上がります。「薬のせいかも」と思ったら、まず薬剤師か処方医に相談してください。
自己判断での中止だけはしないでくださいね!

頻繁に繰り返す鼻血で、見逃してほしくない背景疾患

繰り返す鼻血の背景には、血液疾患・肝疾患・副鼻腔炎・腫瘍など、鼻血そのものとは別の疾患が隠れていることがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、これらを鼻出血の原因として挙げています。

特に薬剤師として「知っておいてほしい」と感じるのが、以下の2つのパターンです。

片側だけから繰り返す鼻血は、局所的な病変や腫瘍の可能性を疑うサインになることがあります。

「左からばかり出る」「右だけ出る」という場合は、念のため耳鼻科での確認をおすすめします。

片側だけに起こる鼻の症状は、鼻詰まりでも同様の注意が必要です。 気になる方はこちらの記事も合わせてご覧ください。

そして両側から繰り返す鼻血に、家族歴が重なる場合は、HHT(遺伝性出血性毛細血管拡張症、別名オスラー病) という遺伝性疾患の可能性を考える必要があります。

推定有病率は5,000人に1人とされており(PubMed)、一般的な知名度は高くありませんが、反復する鼻血の背景疾患として国際ガイドライン(HHT第2版国際ガイドライン日本語版)でも取り上げられています。

「乾燥のせい」「鼻をこすったせい」と片付けるのは、ほとんどの場合は正解です。

ただ、繰り返し・片側・家族歴——この3つが重なるようであれば、一度きちんと診てもらうことをおすすめします。

正しい止め方と、昔から伝わるNG行動

正しい止め方は、じつにシンプル

難しいことは何もありません。

次の手順を守るだけです。

①椅子に座り、やや前かがみの姿勢をとる

血がのどに流れないようにするための体勢です。

立ったままでも構いません。

②小鼻のやわらかい部分を、5〜10分しっかりつまむ

鼻の骨のある硬い部分ではなく、軟骨の下のやわらかい部分を指でしっかり押さえます。

③途中で離して確認しない

「止まったかな?」と確認したくなる気持ちはよくわかりますが、それで再出血することが多い。

スマートフォンでタイマーをセットして、黙って待つのが一番です。

この方法は、日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会が推奨する応急処置です。

「上を向く」は、じつは逆効果でした

昔から「鼻血が出たら上を向きなさい」と言われてきた方は多いはず。

でも今は、上を向くのは推奨されていません

理由は明確で、上を向くと血がのどの奥に流れ込み、飲み込んでしまうことで気分が悪くなったり、誤嚥のリスクが生じたりするからです。

あわせて、やってしまいがちなNGをまとめます。

  • ティッシュを奥まで詰める
    粘膜をさらに傷つけることがあります。
    詰める場合は入口付近にとどめてください
     
  • 首の後ろを叩く
    医学的な根拠はありません。
    昔からの習慣ですが、まぁ意味がないので推奨されていません。
     
  • 仰向けに寝る
    血がのどに流れ込み、「オェッ!」となる原因になります。

「子どもの頃、上を向くように言われた」という方、本当に多いです。
安心して下さい!私自身もそう習った世代です。
でもこれだけは覚えておいてください——前かがみで、つまむ。
これが今の正解です!

病院へ行くべきか——受診チェックリスト

このチェックリストは診断を目的とするものではありません。受診判断の目安としてお使いください。

耳鼻咽喉科への受診を検討してほしいサイン

以下のうち、1つでも当てはまる場合は受診をおすすめします。

□ 20分以上しっかりつまんでも、出血が止まらない
 
□ 1週間に3回以上、繰り返して出ている
 
□ のどに血が流れてくるほど、勢いが強い
 
□ 片側だけから、繰り返し出ている
 
□ 歯ぐきの出血・皮膚のあざなど、他にも出血症状がある
 
□ 抗凝固薬・血液サラサラの薬を服用している
 
□ 発熱・体重減少・倦怠感など、他の体調変化も伴っている

出典:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会

救急・緊急受診が必要なライン

次のような場合は、迷わず救急受診または救急車を呼んでください。

  • 出血が大量で止まらず、ふらつき・意識の変化がある
  • のどへ大量に流れ込む、または顔面への強い衝撃のあとに出血が始まった
  • 大量出血が続き、顔色が悪い・脈が速いなどの全身状態の変化がある

繰り返す鼻血を「予防する」——今日から始められること

粘膜の乾燥を防ぐ習慣

鼻血の予防でもっとも基本になるのが、粘膜の乾燥対策です。

ポイントは、室内湿度を50〜60%に保つこと。

エアコンをつけている部屋は気づかないうちに乾燥が進んでいます。

湿度計を一つ置いておくだけで、日常の意識が変わりますよ!

特に冬場・花粉シーズンは、室内の乾燥が続きやすい環境が続くため、乾燥対策として加湿器の使用も有効な手段の一つです。

また、国際ガイドライン(AAO-HNSF)では、保湿・潤滑剤の使用が鼻出血ケアの選択肢の一つとして含まれています。

鼻の入り口付近への保湿ケアを日常的に取り入れることが、粘膜の乾燥予防につながります。

ただし、繰り返す鼻血や止まらない鼻血では、自己ケアより受診を優先してください

点鼻ステロイドを使っている方への、もう一つのお願い

点鼻ステロイドは花粉症治療において非常に有効な薬ですが、副作用として鼻出血が起こりうることは知っておいてください(参照:PMDA添付文書:頻度0.1〜1%未満)。

特に問題になりやすいのが、噴霧の方向です。

鼻の真正面(鼻中隔の方向)に向けて噴霧してしまうと、同じ場所の粘膜を繰り返し傷つけることに。

正しくは、やや外側(耳の方向)に向けて噴霧するのがポイントです。

「使い方が正しいかどうか自信がない」という方は、薬局でいつでも確認できます。

こういった相談こそが薬剤師の仕事だと思っているので、気軽に声をかけてください!

まとめ——「大人の鼻血」は、正しく知ることが最大の対策

今回お伝えした内容を、3つに整理します。

①鼻出血の7〜8割はキーゼルバッハ部位由来の出血ですが、加齢・乾燥・薬剤の影響が重なって頻度が増えているケースも少なくありません。
 
②薬の影響・背景疾患の可能性を見逃さないことが大切です。
特に抗凝固薬の服用者、点鼻ステロイド使用者、片側だけ繰り返す方、家族歴のある方は、早めの相談・受診を検討してください。
なお、抗凝固薬は自己判断で中止せず、必ず処方医または薬剤師に相談してください。
 
③止め方は「前かがみ・小鼻をつまむ・5〜10分待つ」の3ステップ
「上を向く」はNGです。

チェックリストで1つでも当てはまった方は、「もう少し様子を見よう」ではなく「とりあえず相談してみよう」を選んでください。

鼻血は話しかけにくいテーマかもしれませんが、薬局でも耳鼻科でも、きちんと向き合ってもらえます。


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