毎日パソコンやスマートフォンを長時間使っていると、夕方には目がしょぼしょぼして画面が見づらくなる——そんな経験はありませんか?
あるいは、春になると目がかゆくてたまらず、気づけば一日に何度も目をこすってしまう方もいらっしゃるかと思います。
「目薬を買おうとドラッグストアに行ったはいいけれど、種類が多すぎてどれを選べばいいかわからない」——そんなご相談も、よくいただきます。
この記事では、以下の3点をわかりやすくお伝えします。
・ 目の疲れ・ドライアイ・かゆみの原因の違い
・ 市販目薬の種類と、症状に合った正しい選び方
・ 薬剤師が現場でよくお伝えする”やってはいけないこと”
薬局で長年、毎日のように目薬の相談をお受けしてきた現役薬剤師がお伝えします!
ぜひ最後まで読んで、あなたにぴったりの目薬選びに役立ててください。
注意事項
本記事は情報提供を目的としており、特定の医薬品の効果を保証・断定するものではありません。
薬の効果や副作用には個人差があります。
使用前には必ず添付文書をご確認いただき、不明な点は医師・薬剤師にご相談ください。
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なぜ目が疲れる・かゆくなるの?原因を知ろう

「目が疲れる」「目がかゆい」——。
どちらも日常的に起こりうる不快な症状ですが、実はその背景にある原因は全くの別物と言えるでしょう。
当然ながら、原因が違えば手に取るべき目薬の種類も変わってきます。
まずは「自分の症状がいったいどちらに当てはまるのか」を正しく見極めること。
それこそが、失敗しない目薬選びに向けた極めて重要な第一歩となります。
【疲れ目・ドライアイ】の主な原因
① まばたきの回数が激減している
健康な状態であれば、人は1分間におよそ15〜20回のまばたきをしています。
ところが、パソコンやスマートフォンの画面を集中して見ている最中は、その回数が5〜7回程度まで激減。
まばたきには「涙を目の表面に均一に広げるポンプ」のような役割があるため、回数が減ることで表面が乾きやすくなってしまうのです。乾燥や異物感、かすみといった不快な症状は、こうした背景から生じています。
② 毛様体筋(もうようたいきん)の疲労
目のピント調節を担っているのは、水晶体の厚みを変える「毛様体筋」という筋肉です。
近くのものを長時間見続けると、この筋肉が緊張した状態で固まってしまいます。
これこそが、いわゆる「眼精疲労」や「疲れ目」の正体。
特にデジタルデバイスを手放せない現代人にとって、この筋肉の疲労は切っても切り離せない問題といえるでしょう。
③ 空調・乾燥環境による涙の蒸発
オフィスなどのエアコンが効いた室内は、想像以上に乾燥しているものです。
こうした環境にさらされると、目の表面を覆う涙液の蒸発が加速しかねません。
特に冬場の暖房や夏場の冷房が強く効いている場所では、無意識のうちに乾燥が進んでしまうため注意が必要です。
④ コンタクトレンズによる負担
コンタクトレンズの装着も、目にとっては小さくない負担となります。
レンズが涙液を吸収してしまったり、角膜への酸素供給を妨げたりすることがあるからです。
長時間の装用は目への負荷を強め、疲れ目やドライアイの症状をさらに悪化させる要因となります。
〔参照:日本眼科医会(gankaikai.or.jp)「屈折異常と眼精疲労」〕
日本眼科医会では、長時間のVDT(Visual Display Terminal)作業を眼精疲労の主要な原因のひとつとして挙げており、適切な休憩と環境整備による予防を推奨しています。
【目のかゆみ・充血】の主な原因
① アレルギー性結膜炎のメカニズム
目のかゆみが生じる多くのケースで、その背景にあるのが「アレルギー性結膜炎」です。
花粉やハウスダスト、ペットの毛などのアレルゲンが、目の結膜(白目の表面を覆う膜)に触れると、体内で「IgE抗体」という物質が反応します。

すると、肥満細胞(マスト細胞)から「ヒスタミン」という化学物質が放出。
このヒスタミンが目の神経を刺激することで、強いかゆみや充血、涙目といった不快な症状が引き起こされる仕組みです。
原因となるアレルゲンには、主に以下のようなものが挙げられます。
| アレルゲン | 主なシーズン |
|---|---|
| スギ・ヒノキ花粉 | 2〜5月 |
| イネ科花粉 | 5〜9月 |
| ハウスダスト・ダニ | 通年 |
| ペットの毛・フケ | 通年 |
② コンタクトレンズによる刺激
コンタクトレンズの長期装用やレンズの汚れも、結膜を物理的に刺激してかゆみや充血を招く要因となります。
中でも、コンタクトの汚れなどが原因で起こる「巨大乳頭結膜炎(GPC)」というアレルギー性炎症には注意が必要です。
健やかな瞳を保つためには、正しいレンズケアの徹底が欠かせません。
💊【薬剤師コラム:目薬選びの落とし穴】
「目が赤くなっているから、とりあえず充血除去剤を使おう」と考えている方は非常に多いのですが、実はここに大きな誤解があります。
疲れ目やアレルギーによる充血に対して充血除去剤を使用しても、それは一時的に血管を収縮させているだけで、根本的な原因には一切作用していません。
むしろ安易な連用によって、かえって症状が悪化してしまうケースさえあるのです。
「なぜ今、目が充血しているのか」という原因をまず見極めること。
それが、正しい目薬選びにおいて最も大切な出発点となります。
市販目薬の種類を知ることが”正しい選び方”の第一歩
薬局やドラッグストアの棚には、実に数十種類もの目薬が並んでいます。
ついついパッケージや価格で選びたくなりますが、目薬は「主成分の種類」によってその作用が大きく異なるものです。
症状に合わないものを選んでしまうと、期待した効果が得られないばかりか、かえって症状を悪化させるリスクも否定できません。
まずは代表的な4つのタイプについて、それぞれの特徴を詳しく確認していきましょう。
人工涙液型(疲れ目・ドライアイ向け)

どんな目薬?
人工涙液型は、人間の涙に近い成分で構成された目薬のこと。
乾燥によって不足した涙液を補い、瞳の表面を潤すことで、乾き・異物感・疲れ目といった症状の緩和をサポートしてくれます。
主な成分(製品タイプ別)
人工涙液型は、配合成分のアプローチによって大きく2タイプに分かれます。
① 電解質型(涙の組成に近いシンプルな処方)
- 塩化カリウム・塩化ナトリウム:
涙液に含まれる電解質成分に近い組成で、デリケートな目の表面を優しく潤します。
刺激が非常に少なく、防腐剤フリーの製品に多く採用されているタイプです。
② 粘性基剤配合型(目の表面への密着を高めた処方)
- ヒプロメロース(ヒドロキシプロピルメチルセルロース):
涙に近い粘性を持たせることで、潤いを瞳に留める役割を担います。 - コンドロイチン硫酸エステルナトリウム:
目の表面にある「ムチン層」に働きかけ、涙の安定化を助けるとされています。
薬剤師がよくご案内する商品例
ソフトサンティア(参天製薬):
塩化カリウムと塩化ナトリウムを主成分とする、シンプルな電解質型(保存剤無添加)の目薬です。
ヒプロメロース等の粘性基剤は含みませんが、涙の組成に近いため刺激が少なく、ソフトコンタクトレンズを装着したまま使用できるのが大きなメリットといえるでしょう。
ロートCキューブプレミアムモイスチャー(ロート製薬):
有効成分としてヒプロメロースやコンドロイチン硫酸エステルナトリウム、各種電解質を配合した粘性基剤型の人工涙液です。
なお、ヒアルロン酸Naは有効成分ではなく「添加物」としての配合となります。
※保存剤(塩化ベンザルコニウム)を含むため、ソフトコンタクトレンズ装着中の使用は控える必要があります。
ヒアレインS(参天製薬・第2類医薬品):
有効成分として精製ヒアルロン酸ナトリウムを配合。
かつては処方薬としてのみ扱われていた「ヒアレイン点眼液」と同成分の製品が、現在はOTC医薬品として薬局で購入可能となっています。
※上記は相談時によくお伝えする一例です。効果には個人差があるため、すべての方の症状改善を保証するものではない点をご了承ください。
抗ヒスタミン型(花粉症・アレルギー性結膜炎向け)

抗ヒスタミン型の目薬は、アレルギー症状を引き起こす「ヒスタミン」の働きをブロックする成分を含む点眼薬です。
内服の花粉症薬との使い分けが気になる方は、【薬剤師が解説】眠くなりにくい花粉症の薬ランキングもあわせてご覧ください。
どんな目薬?
抗ヒスタミン型は、アレルギー反応の引き金となるヒスタミンの働きを抑える成分を含む目薬です。
花粉症や通年性アレルギーによるかゆみ・充血・涙目などの症状緩和をサポートします。
主な成分
- クロルフェニラミンマレイン酸塩:
H1受容体(ヒスタミン受容体)をブロックし、かゆみを鎮めるサポートをします。
多くの市販抗アレルギー点眼液に含まれている成分です。
- ケトチフェンフマル酸塩:
ヒスタミン遊離の抑制と受容体ブロックの両方に作用するとされています。
- クロモグリク酸ナトリウム:
肥満細胞安定化薬(Mast Cell Stabilizer)に分類される成分です。
肥満細胞からヒスタミンやロイコトリエンなどのアレルギー物質が「放出されるのを抑える」作用を持ちます。
クロルフェニラミンやケトチフェンのように「ヒスタミン受容体を直接ブロックする」H1拮抗薬とは作用機序が異なり、アレルゲン曝露前からの予防的・継続的な使用が想定される成分です。
💊【薬剤師専門ポイント①:コンタクト装着中の使用可否について】
抗ヒスタミン成分を配合した目薬は、製品によってコンタクトレンズをつけたまま使えるものと、そうでないものに分かれます。
その判断を左右する大きな基準が、「防腐剤の有無」です。
防腐剤として広く採用されている「塩化ベンザルコニウム(BAK)」は、ソフトコンタクトレンズに吸着・蓄積しやすい性質を持っています。
レンズ内に高濃度で蓄積された成分が角膜に長時間接触し続けると、角膜上皮障害を引き起こすリスクも否定できません。
一方で、防腐剤フリーの製品や、レンズへの影響が少ない特殊な防腐剤を使用した製品であれば、装着中の点眼が認められているケースもあります。
使用の際は自己判断せず、必ず外箱や添付文書の表示を確認するようにしてください。
薬剤師がよくご案内する商品例
ロートアルガードエピナスチン点眼薬(ロート製薬)

2026年3月2日より全国の薬局で購入できるようになった、比較的新しい点眼薬です。
有効成分のエピナスチン塩酸塩0.05%は、もともと眼科で処方される医療用点眼薬と同じ成分です。
BAK・パラベン無添加で、1回1滴・1日4回の点眼が目安。
1歳以上から使用できます。
なお、「エピナスチン配合の市販目薬を探している」とネットで調べると、「アレジオン点眼液」が候補として表示されることがありますが、これは処方薬(医療用医薬品)のため薬局では購入できません。
市販でエピナスチン配合の点眼薬をお探しの方は、ロートアルガードエピナスチン点眼薬を薬剤師にご相談ください。
要指導医薬品のため、薬剤師との対面販売が必要です。ネット購入はできません。
〔参照:ロート製薬プレスリリース 2026年2月10日/厚生労働省 要指導医薬品一覧(令和8年3月9日更新)〕
ロートアルガードクリアブロックEX(ロート製薬)
クロルフェニラミンマレイン酸塩(抗ヒスタミン成分)とグリチルリチン酸二カリウム(抗炎症成分)を配合したOTC点眼液です。
ロートアルガードクリニカルショット(ロート製薬)
抗アレルギー成分トラニラスト・抗ヒスタミン成分クロルフェニラミンマレイン酸塩・抗炎症成分プラノプロフェンを配合した、アレルギー症状が続く方向けのOTC点眼液です。
充血除去型(血管収縮剤配合)

どんな目薬?
充血除去型は、目の血管を一時的に収縮させることで“見た目”の充血を改善する目薬です。
白目の赤みを素早く取る効果が期待できます。
主な成分
- 塩酸テトラヒドロゾリン:
交感神経を刺激し、目の血管を収縮させます。
- ナファゾリン硝酸塩:
同じく血管収縮作用を持つ成分で、多くの充血除去目薬に配合されています。
💊 薬剤師専門ポイント②:充血除去剤の連用は絶対にNG
充血除去型の目薬に関して、我々薬剤師が店頭で最も頻繁にお伝えする注意点の一つです。
配合されている血管収縮剤は、使用直後こそ白目の赤みをスッキリと引かせてくれるもの。
ところが、その効果が切れるタイミングで、血管には「反動(リバウンド)」が生じ、以前にも増して拡張してしまう傾向にあります。
こうしたサイクルを繰り返すと、目薬なしでは常に目が赤い「慢性充血」の状態に陥りかねません。
これこそが、いわゆる「反応性充血(リバウンド充血)」と呼ばれるです!
さらに見逃せないのが、血管収縮剤には瞳孔を広げる「散瞳(さんどう)」作用がある点です。
⚠️ 「閉塞隅角(へいそくぐうかく)緑内障」を患っている方がご使用になると、房水の排出が急激に滞り、眼圧が跳ね上がる「急性緑内障発作」を誘発する恐れがあります。
この発作は激しい目の痛みや頭痛、吐き気を伴う眼科的緊急事態であり、数時間以内に適切な処置を施さなければ生涯にわたる視野障害が残るリスクがあります。
使用の原則:
・ 症状があるときだけ、短期間(数日以内)に限る
・ 「白目をきれいに見せたい」という目的での連日使用は行わない
「使うたびに目が真っ赤になってきた気がする」という方は、充血除去剤の使いすぎが原因である可能性があります。
使用をやめて症状が続く場合は、眼科へご相談ください。
ビタミン配合型(栄養補給・疲労回復向け)

どんな目薬?
ビタミン配合型は、目の疲れや栄養不足に対するサポートを目的とした目薬です。
ドラッグストアで最もよく目にする「定番の目薬」のほとんどがこのタイプか、このタイプを基本にした製品といえます。
主な成分と期待されるはたらき
| 成分 | 期待されるはたらき |
|---|---|
| ビタミンB12(シアノコバラミン) | 目のピント調節に関わる末梢神経機能のサポート。 毛様体筋の調節機能改善を助けるとされています。 |
| パンテノール(ビタミンB5) | 角膜・結膜の代謝をサポートし、組織の修復を助けるとされています。 |
| タウリン | 細胞の機能維持・代謝促進をサポートするアミノ酸の一種。 |
| ネオスチグミンメチル硫酸塩 | コリンエステラーゼを阻害してアセチルコリンを増加させ、毛様体筋の収縮・ピント調節機能のサポートをするとされる成分。 |
ビタミン配合型は刺激が少なく、比較的幅広い方が使いやすいタイプです。
ただし、アレルギーのかゆみや重度のドライアイに対しては、専門成分を持つ他のタイプの方が症状緩和をサポートしやすいケースもあります。
薬剤師がよくご案内する商品例
サンテ メディカル12
赤いビタミンB12を最大濃度配合し、スマホやPCによる「ピント調節筋」のコリを集中ケア。
Vロートプレミアム
国内最多12成分配合で、乾き・かすみ・痛みなど、蓄積された「酷使による現代疲労」を多角的に癒やします。
ソフトサンティア ひとみストレッチ
コンタクトをしたまま使える防腐剤フリー処方で、夕方の「重い・疲れた」瞳に栄養を直接届けます。
【用途別】薬剤師おすすめ市販目薬の比較一覧

症状や使用シーンに応じた市販目薬の比較一覧をご紹介します。
以下はあくまでも「薬剤師がご相談を受けた際によくご案内する商品の例」です。
効果には個人差があり、症状の改善・治癒を保証するものではありません。
※価格・仕様は変動する場合があります。購入の際は必ず最新の情報をご確認ください。
■ 疲れ目・ドライアイ向け
| 商品名 | メーカー | 主な有効成分 | コンタクト使用 | 防腐剤フリー | 価格帯(目安) |
|---|---|---|---|---|---|
| ソフトサンティア | 参天製薬 | 塩化カリウム・塩化ナトリウム(電解質型・保存剤無添加) | ○ | ◎(使い切り) | 500〜700円前後 |
| ロートCキューブプレミアムモイスチャー | ロート製薬 | ヒプロメロース・コンドロイチン等(ヒアルロン酸Naは添加物) | ✕(BAK含有) | △ | 700〜1,000円前後 |
| ヒアレインS | 参天製薬 | 精製ヒアルロン酸ナトリウム(第2類医薬品) | 製品による | △ | 700〜1,200円前後 |
| スマイル40EX | ライオン | ビタミンB12・ネオスチグミン | 製品による | △ | 400〜700円前後 |
■ 花粉症・アレルギー向け(OTC・要指導医薬品のみ掲載)
| 商品名 | メーカー | 主な有効成分 | コンタクト使用 | 防腐剤フリー | 価格帯(目安) |
|---|---|---|---|---|---|
| ロートアルガードエピナスチン点眼薬(要指導医薬品・2026年3月新発売) | ロート製薬 | エピナスチン塩酸塩0.05% | ✕(装着中使用不可) | ◎(BAK・パラベン無添加) | 1,980円(5mL×2本) |
| ロートアルガードクリアブロックEXa | ロート製薬 | クロルフェニラミン・グリチルリチン酸二カリウム | ✕(装着中使用不可) | △ | 700〜1,000円前後 |
| ロートアルガードクリニカルショット | ロート製薬 | トラニラスト・クロルフェニラミン・プラノプロフェン | ✕(装着中使用不可) | △ | 要確認 |
| ロートアルガード コンタクトa | ロート製薬 | クロルフェニラミン・グリチルリチン酸二カリウム | ○(コンタクト装着中使用可) | ◎(BAK・パラベン無添加) | 要確認 |
※ロートアルガードエピナスチン点眼薬は要指導医薬品のため、薬剤師との対面販売が必須です。ネット購入はできません。
■ 充血(短期使用)向け
| 商品名 | メーカー | 主な有効成分 | コンタクト使用 | 連用可否 | 価格帯(目安) |
|---|---|---|---|---|---|
| Vロートプレミアム | ロート製薬 | 塩酸テトラヒドロゾリン等(12成分配合) | ✕(ソフトコンタクト不可) | 短期のみ | 700〜1,000円前後 |
| サンテFX | 参天製薬 | 塩酸テトラヒドロゾリン等 | ✕(ソフトコンタクト不可) | 短期のみ | 400〜700円前後 |
💊【薬剤師専門ポイント③:コンタクト装着中の使用ルール】
「コンタクトをしたまま目薬を使っていいですか?」——これは、薬局の現場で最も頻繁に寄せられる質問の一つと言えるでしょう。
判断のポイントは至ってシンプル。
「外箱に『コンタクトレンズを装着したままご使用いただけます』という旨の記載があるかどうか」、これに尽きます。
もしこの表記がない目薬であれば、必ずレンズを外してから点眼するようにしてください。また、点眼後も5〜15分程度(製品ごとの指示に従う)の間隔を空けてから再装着するのが鉄則です。
特に注意が必要なのが、防腐剤として含まれる「塩化ベンザルコニウム(BAK)」です。
この成分はソフトコンタクトレンズに吸着・蓄積しやすく、角膜上皮障害を引き起こすリスクが生じます。
「有名なブランドだから安心」「昔から使い慣れているから大丈夫」といった自己判断は、思わぬトラブルを招きかねません。
購入の際は必ず外箱の表示を確認する習慣を身につけましょう。
症状・シーン別の目薬の選び方チャート

「自分の症状にどの目薬が合うかわからない」という方のために、症状ごとの選び方をフローチャート形式でまとめました。
あなたにぴったりの目薬はどれ?症状別チェックフロー
「棚にたくさん並んでいて、どれを買えばいいか分からない…」そんな時は、まず今の「一番つらい症状」から辿ってみてくださいね。
「目がかゆい・涙が出る」なら
- 原因が花粉やハウスダスト → 【抗ヒスタミン型】を選びましょう。
※コンタクトの方は外箱の「装着中使用可」の表示を必ずチェック!
「目が疲れる・乾く・しょぼしょぼする」なら
- 乾燥や異物感がメイン → 【人工涙液型】がおすすめ。
- ピント調節の疲れやぼやけがメイン → 【ビタミン配合型】が効果的です。
「目が赤い(充血)」なら
- かゆみも伴う → まずアレルギーを疑い 【抗ヒスタミン型】。
- 疲れや乾燥も伴う → 【人工涙液型】で優しくケア。
- 大切な用事があり、今すぐ白くしたい → 【充血除去型】。
薬剤師からの重要アドバイス:充血除去薬の「使いすぎ」に注意!
「充血除去型」の目薬は、血管を収縮させて一時的に白く見せるものです。
・ 連用厳禁:
長期で使用すると、薬が切れた時にかえって充血がひどくなる「リバウンド」が起こることがあります。
・ 受診の目安:
5日以上使用しても症状が改善しない場合は、ただの疲れ目ではない可能性があります。
早めに眼科を受診してください。
目の症状は、一つだけでなく複数が重なり合って現れるケースも少なくありません。
「花粉症でかゆみが強いけれど、仕事でのPC作業による疲れ目も気になる」といった場合には、まず「今、最も辛いと感じる症状」を優先して目薬を選ぶのが基本となります。
もし複数種類の目薬を併用されるのであれば、成分が混ざり合って効果が薄れないよう、必ず5分以上の間隔を空けて点眼するようにしましょう。
なお、1週間ほど使用を続けても改善の兆しが見られない場合は、市販薬での対応の限界と判断し、眼科を受診すべきタイミングと言えます。
正しい点眼のしかた|薬剤師が教える5ステップ

「目薬の使い方なんて知っている」と思われるかもしれませんが、薬局で確認すると正しく使えていない方が意外と多くいらっしゃいます。
STEP 1|必ず手を洗う
目薬を使う前に、石けんで手をよく洗いましょう。
手についた雑菌が目薬の容器口や目に触れると、感染症(細菌性結膜炎など)のリスクが生じます。
「一瞬だから」と省略しがちですが、目は外部の刺激に対して敏感な器官です。
感染予防の観点から、手洗いは欠かせない習慣といえます。
STEP 2|正しい姿勢で1滴だけ点眼する
【基本の姿勢】
- 上を向くか、軽く後ろに頭を傾ける
- 下まぶたを軽く引き下げ、目薬を1滴だけ点眼する
- 容器の先端が、目・まつ毛・皮膚に触れないよう注意する
なぜ1滴で十分なのか?
結膜嚢(目薬が入るスペース)の最大容量は25〜30µLですが、通常は涙液(約7µL)が既に存在するため、実際に収容できる薬液は20µL前後にすぎません。
一方、目薬1滴の量は約30〜50µLあります。
2滴・3滴と使っても薬の効果は変わらず、むしろ薬液の無駄と全身吸収量の増加につながります。
容器の先端が目やまつ毛に触れると、雑菌が容器内に入り込んで目薬が汚染される原因になる点にも注意が必要です。
〔参照:慶應義塾大学病院KOMPAS「点眼薬」〕
STEP 3|目を閉じて静かに待つ
点眼後はすぐにまばたきをせず、目を静かに閉じましょう。
まばたきのポンプ作用で薬液が目の外へ流れ出てしまうと、十分な効果が期待しにくくなります。「しみる」「不快」という場合も、目をこすらず閉じたまま待つのが正しい対応です。
STEP 4|目頭(涙点)を軽く押さえる(STEP3と同時に行う)
目を閉じると同時に、目頭(目の内側の角)を指で1〜5分程度軽く押さえてください。
点眼した目薬は、目頭にある「涙点(るいてん)」という小さな穴から鼻涙管を通り、鼻や喉へと流れ込む仕組みになっています。
このルートを伝って薬液成分が全身へ吸収されてしまう(鼻涙管ドレナージ)ことがあり、特に血管収縮剤や抗ヒスタミン成分などを含む目薬では、全身への影響も無視できません。
目頭をそっと押さえて涙点をふさぐことで、全身への薬剤移行を最小限に抑えられるだけでなく、眼内での薬液滞留時間を延ばす効果も期待できます。〔参照:日本眼科学会 緑内障診療ガイドライン第5版/参天製薬点眼指導資料〕
💊【薬剤師コラム:目薬の「家族での使い回し」は厳禁!】
「目薬を家族で共有している」というお話を時折耳にしますが、これは感染リスクの観点から、専門家の立場として絶対に避けていただきたい行為の一つです。
特に、細菌性やウイルス性による目の感染症(いわゆる「はやり目」など)は、目薬の容器や薬液を介して、家族間であっという間に広がってしまう恐れがあります。
たとえ市販の目薬であっても、必ず「1人1本」を自分専用として使い、他の方と貸し借りするのは控えるようにしましょう。
STEP 5|複数の目薬を使う場合は間隔をあける
2種類以上の目薬を使う方は、必ず間隔をあけてください。
間隔が短いと後から使った目薬が先の薬液を洗い流してしまい、最初の目薬の効果が十分に得られなくなります。
📌間隔の目安
- 通常の液状点眼薬 : 5分以上
- ゲル状・油性点眼薬を含む場合 : 10分以上
複数の目薬を使う順番の目安は「サラッとした(粘度が低い)目薬」→「トロッとした(粘度が高い)目薬」の順が基本です。
〔参照:日本眼科学会 緑内障診療ガイドライン第5版〕
点眼の基本手技については 👉 【簡単】目薬の差し方の新常識!もう失敗しない&怖くない でも詳しく解説しています。正しく点眼することで薬の効果を最大限に引き出せますので、ぜひここで改めて確認してください。
やってはいけないこと|薬剤師が現場で見てきたNG事例

「目薬くらい自己判断で大丈夫」と思いがちですが、間違った使い方が症状を長引かせたり、目に取り返しのつかないダメージを与えるケースがあります。
充血除去剤の長期連用(最重要NG)
これは現場で最も多く見てきた、かつ最も危険なNG行為です。
リバウンド充血のメカニズム
充血除去剤に含まれる血管収縮成分は、目の血管を強制的に細めることで、白目の赤みを一時的に抑え込む仕組みです。
しかし、薬の効き目が切れるタイミングで、血管には「収縮に対する反動」が生じ、以前よりも強く拡張しようとする性質があります。
鏡を見て「また目が赤くなった」と感じ、反射的に点眼を繰り返す——。
こうした負のループこそが、血管が常に広がったままの「慢性充血」を招く原因に他なりません。
使用の原則
・ 充血除去剤は「症状があるときだけ、短期間(数日以内)」に限る
・ 「白目を白く見せたい」「見た目をよくしたい」という目的での連日使用はNG
・ 使用して5〜7日経っても改善しない場合、または充血がひどくなっている場合は眼科へ
・ 閉塞隅角緑内障の方・隅角が狭いと指摘されたことがある方は使用前に必ず医師・薬剤師に確認すること(散瞳作用による急性緑内障発作のリスクがあるため)
コンタクト装着中に使えない目薬を使う
塩化ベンザルコニウム(BAK)は、市販されている多くの目薬に配合されている一般的な防腐剤の一つ。
本来は細菌の増殖を抑えるために必要な成分ですが、ソフトコンタクトレンズに極めて吸着しやすいという特性を備えています。
もし装着中にBAK入りの目薬を使い続けてしまうと、レンズの中に成分が蓄積・濃縮され、角膜上皮障害を引き起こすリスクが生じます。
何より注意したいのは、「自覚症状が乏しいままに進行してしまうケースも珍しくない」という点です。
外箱・添付文書に「コンタクトレンズを装着したままご使用いただけます」の記載があるものだけを装着中に使用し、記載がなければ必ずコンタクトを外してから点眼してください。
使用期限・開封後の保管を守らない
| 項目 | 注意点 |
|---|---|
| 開封後の使用期限 | 一般的な目薬は開封後1ヶ月を目安に使い切る。 防腐剤フリーの使い切りタイプはその1回で使い切る。 |
| 保管場所 | 直射日光・高温多湿を避け、涼しい場所で保管。 車内への放置は厳禁。 |
| 変色・濁りがある場合 | 成分が変質している可能性がある。使用せず廃棄する。 |
| キャップをしっかり閉める | 雑菌の混入・薬液の蒸発を防ぐため、使用後は必ずキャップを閉める。 |
「去年の花粉症シーズンに使った目薬がまだある」という方は要注意です。
開封後1ヶ月を超えている場合は、使用せず廃棄することをおすすめします。
症状が続いているのに自己判断で使い続ける
市販薬はあくまでも「軽度の症状を一時的に緩和するサポート」を目的としたものです。
目やにが増えてきた場合や「ものもらい」が疑われる症状がある場合は、👉 ものもらいに抗菌目薬!市販でOK?眼科行くべき?徹底解説もあわせてご参照ください。
🚨 【最優先・緊急】以下の症状が同時に起きた場合は、直ちに眼科または救急を受診してください
急激な目の激しい痛み・頭痛・吐き気・嘔吐が同時に起きた
これは急性緑内障発作の典型的な症状です。
眼圧が急激に上昇し、数時間以内に適切な処置を受けないと不可逆的な視野障害が残る危険がある眼科的緊急事態です。
「目薬で様子をみる」段階ではなく、夜間・休日であっても救急受診を検討してください。
【通常の眼科受診目安】以下に該当する場合は早めに眼科へ
・ 市販の目薬を1週間以上使用しているが症状が改善しない
・ 目の痛みが強い、または視力が下がった感じがある
・ 目やにが大量に出る、または色(黄色・緑色)がついている
・ 光がまぶしく感じる(羞明)
・ 片目だけ急に充血した
・ 充血除去剤を使うたびに目が赤くなる感じがする(リバウンド充血の疑い)
これらは緑内障・角膜炎・虹彩炎・感染性結膜炎など、早期治療が必要な目の病気のサインである可能性があります。
〔参照:日本眼科医会(gankaikai.or.jp)「目の定期検査のすすめ」〕
よくある質問(FAQ)

Q1. 目薬は毎日さしてもいいですか?
A. 目薬の種類によって異なります。
- 人工涙液型:ドライアイや乾燥感のある方に適した、比較的負担の少ないタイプです。ただし使用回数の上限は添付文書でご確認ください。
- 抗ヒスタミン型:花粉症シーズンなど症状がある期間は継続使用できるものもありますが、添付文書の用法・用量を守って使用してください。
- 充血除去型:毎日の使用はNGです。症状があるときだけ、短期間に限ります。
Q2. 子どもに市販の目薬を使わせてもいいですか?
A. 製品によって使用できる対象年齢は大きく異なります。
目薬の外箱や添付文書には、必ず「2歳未満は使用しないこと」といった年齢制限の記載があるため、まずはそちらを正しく確認しましょう。
特に小さなお子さんの場合、まずは眼科医へ相談するのがもっとも安心な選択と言えるでしょう。
Q3. 2種類の目薬を同時に使いたいのですが大丈夫ですか?
A. 基本的に併用は可能ですが、必ず「5分以上」の間隔を空けてください。
もしゲル状の目薬が含まれる場合は、さらに長く「10分以上」あけるのが理想的です。
複数の目薬を組み合わせて使う際は、安全のために薬剤師へ一度ご確認いただくことをおすすめします。
Q4. コンタクトレンズをつけたまま目薬を使えますか?
A. 外箱に「装着したまま使用可能」という旨の記載がある製品に限られます。
この表記がない目薬を使用する際は、一旦レンズを外してから点眼し、5〜15分ほど時間を置いてから再装着するのが基本のルールです。
Q5. 目薬は冷蔵庫で保管した方がいいですか?
A. 多くの製品は「室温保存」で問題ありません
しかし、一部には冷蔵保管が必須の製品もあり、その場合は添付文書の「保管及び取扱い上の注意」に必ず明記されています。
冷蔵庫で冷えた目薬は点眼時にしみるような刺激を感じることもあります。
使用直前に手の中で数分包み込むようにして、軽く温めてからさすとより快適に使用できるはずです。
まとめ

この記事では、市販目薬の種類・選び方・正しい使い方・やってはいけないことについて、薬剤師の視点から解説しました。
最後に要点を整理します。
| ポイント | まとめ |
|---|---|
| 疲れ目 vs かゆみ | 原因が違う。 使うべき目薬の種類もまったく異なる |
| 充血除去剤の連用 | リバウンド充血のリスクがあり、短期使用に限る |
| 閉塞隅角緑内障の方 | 充血除去剤の使用前に必ず医師・薬剤師へ確認を |
| コンタクト装着中 | 外箱の「装着中使用可」表示を必ず確認する |
| 正しい点眼 | 1滴・目を閉じながら目頭を押さえる(1〜5分)・5分間隔が基本 |
| 緊急症状 | 急激な目の痛み+頭痛+吐き気が同時に起きたら急性緑内障発作の可能性。 直ちに眼科へ |
| 受診の目安 | 1週間以上改善しない症状は、眼科への受診を検討する |
| 2026年3月の新情報 | エピナスチン配合のOTC点眼薬(要指導医薬品)が薬局で購入可能になった |
症状に合った目薬を選び、正しい方法で使うことで、症状の緩和が期待できます。
「自分の症状にどれが合うかわからない」「今使っている目薬が合っているか不安」という方は、ぜひお近くの薬局で薬剤師にご相談ください。
本記事の情報は執筆時点(2026年)のものです。
医薬品の承認状況・添付文書の内容は変更される場合があります。
最新情報はPMDA(pmda.go.jp)および処方医・調剤薬局にてご確認ください。