お風呂が危険?ヒートショックの原因と対策を解説

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お風呂が危険?ヒートショックの原因と対策を解説

寒い日のお風呂って、体の芯まで温まってまさに天国ですよね!

でも、ちょっと待ってください!

その至福の時間が、実は命を脅かす「ヒートショック」の入り口かもしれないんです。

「うちはまだ若いから大丈夫」「元気だから平気」なんて思っていませんか?

実はヒートショックは高齢者だけでなく、温度差がある環境なら誰にでも起こりうる怖い現象なんです。

今回は、なぜヒートショックが起きるのか、お風呂はもちろんトイレなどの注意すべき場所、そして万が一の時の対処法まで分かりやすく解説します。

大切な家族と自分の命を守るための知識を、今すぐチェックしましょう!


関連記事「【血圧の薬、一生はイヤ!やめる前に知るべきリスクと希望の光とは】]も合わせてご覧ください!


天国が地獄に?なぜ「ヒートショック」は起きるのか

「日本のお風呂は世界一気持ちいい!」

なんや知らんけど…。

でも、肩までお湯に浸かって「ふぅ〜」と息をつく瞬間。

一日の疲れが溶けていくようです。

しかし、悲しい現実をお伝えしなければなりません。

日本国内では、交通事故で亡くなる方よりも、お風呂の中で亡くなる方の方が多いという推計データがあることをご存知でしょうか?(※1)

その主犯格と言われているのが、今回のテーマである「ヒートショック」です。

「ショック」という言葉から、何か電気のような衝撃を受けるイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし正体はもっと身近で、かつ体の中で静かに、激しく起こっている現象なのです。

犯人は「温度差」!血圧がジェットコースターのように乱高下

ヒートショックの正体、それは「急激な温度変化による血圧の乱高下」です。

人間の体は本当によくできています。

暑いときは血管を広げて熱を逃がし、寒いときは血管をキュッと縮めて熱を逃さないように自動調整してくれるのです。

しかし冬の入浴シーンでは、この調整機能がパニックを起こすほどの激しい環境変化が待ち受けています。

想像してみてください。

あなたの血管は、冬の寒さとお風呂の熱さによって、まるでジェットコースターのように激しく動かされているのです。

【恐怖の血圧ジェットコースター:入浴編】

  1. 暖かいリビング(平常)
    ぬくぬくしてリラックス。
    血圧は安定しています。
     
  2. 寒い脱衣所・浴室(急上昇!)
    「うっ、寒い!」服を脱いだ瞬間、寒さで血管がギューッと縮みます。
    ここで血圧が急上昇
    心臓には大きな負荷がかかります。
     
  3. 熱い湯船へ(さらに上昇→急降下!)
    お湯に浸かった瞬間、熱さで交感神経が刺激され、一瞬さらに血圧が上がります。
    しかしその後、体が温まるにつれて血管が広がり、今度は血圧がドーンと急降下します。
     
  4. お風呂上がり(再上昇?)
    濡れた体で寒い脱衣所に出ると、気化熱で体が冷え、また血管が縮み血圧が上がることも…。

この「上がったり下がったり」の激しい変動が、血管や心臓に大ダメージを与えます。

その結果、脳卒中(脳梗塞・脳出血)や心筋梗塞といった致命的な病気を引き起こしたり、

急激な血圧低下で意識を失い(失神)、そのまま浴槽で溺れてしまったりするのです。

「熱いお湯にドボン!」が心臓に負担をかける理由

特に日本人は、42度以上の「熱めのお湯」を好む傾向があります。

「熱いお湯に入らないと入った気がしない!」という江戸っ子気質の方、いらっしゃいますよね(お気持ちはすごく分かります!)。

しかしヒートショックの観点からは、これが一番のリスク要因です。

冷え切った体をいきなり熱いお湯に入れると、体はびっくりします。

これを医学的には「静水圧(せいすいあつ)」の影響も加わって説明できます。

お湯に浸かると、体には水圧がかかります。
ふくらはぎなどの血液が水圧で押し出され、心臓に戻ってくる血液量が増えます。
ただでさえ温度差で負担がかかっている心臓に、さらに大量の血液が戻ってくることで心臓はパンク寸前になってしまうのです。

若い方でも、サウナの水風呂などで「整う」感覚がありますが、あれも一種のヒートショックに近い負荷をあえてかけている状態。

体調が万全でない時や高齢になって血管のしなやかさが失われている時に同じことをすれば…どうなるか想像できますよね。

「お風呂はリラックスする場所であって、我慢大会の場所ではない」

まずはこの意識を持つことが予防の第一歩です!

命を守る入浴術!お風呂でのヒートショックを防ぐ5つの作戦

「怖い怖いと言われても、やっぱりお風呂には入りたい!」

もちろんです!

お風呂は本来、健康に良いもの。

入り方さえ間違えなければ、これほど体に良い習慣はありません。

ここからは私たち薬剤師が推奨する、今日からできる「命を守る入浴の鉄則」を5つご紹介します。

難しいことは一つもありません。

ぜひ今夜から実践してください。

脱衣所と浴室を温める「予備暖房」が最強の盾

ヒートショック対策の王様、それは「温度差をなくすこと」につきます。

リビングが20度で、脱衣所が10度だとしたら、その「10度の差」が命取りです。

【具体的なアクション】

  • 脱衣所:
    小型でも良いので、セラミックファンヒーターやハロゲンヒーターを置きましょう。
    「着替える時だけだし…」とケチってはいけません。その数分が命を守ります。
  • 浴室:
    浴室暖房乾燥機があれば、入浴前にスイッチON!
    もしない場合は、「シャワー給湯」という裏技があります。
    • 裏技の手順: お湯をためる時、蛇口からではなく、高い位置に設置したシャワーからお湯をバスタブに向かって注ぎます(フタは開けておく)。
    • 効果: シャワーの蒸気が浴室全体に広がり、入る頃には浴室全体がポカポカのミストサウナ状態に!

これ、本当に温かいのでおすすめです!

お湯の温度は41度以下?一番風呂は避けるべき?

その①:お湯は「41度以下」厳守!

「ぬるい!」と言われるかもしれませんが、医学的に安全とされるのは38度〜40度、高くても41度までです。

42度を超えると、交感神経(興奮する神経)が刺激され、血圧が上がりやすくなるだけでなく、血液が固まりやすくなる(血栓ができやすくなる)という研究もあります。

40度前後のお湯にゆっくり(10分〜15分程度)浸かるほうが、副交感神経(リラックスする神経)が働き、体の芯まで温まります。

結果的に湯冷めもしにくいんですよ。

その②:一番風呂の罠

「一番風呂は体に毒」と昔から言われますが、これには科学的な根拠があります。

一番風呂のお湯は、まだ温度が均一ではなく熱いことが多かったり、不純物が少なくて肌への刺激が強かったりします。

また、誰も入っていない浴室は一番寒い状態です。

ヒートショックのリスクが高い高齢者や高血圧の方は、家族が誰か入って、浴室が温まった後の「二番風呂」以降に入ってもらうのが優しさです。

「かけ湯」はマナーじゃなくて命綱です!

温泉に行くと必ずかけ湯をしますが、家のお風呂だと、いきなりドボンと入っていませんか?

かけ湯は、単にお尻の汚れを落とすマナーではありません。

「これからお湯に入りますよ〜!」と心臓と血管に合図を送るための準備運動なんです。

【正しいかけ湯の流儀】

  1. 心臓から遠いところから: 指先、足先から始めます。
  2. 徐々に中心へ: 足首、膝、太もも、お腹、そして最後に肩へ。
  3. 温度に慣らす: シャワーだけでなく、できれば手桶で、湯船のお湯を使って体を慣らしましょう。

この数十秒の手間が、急激な血圧変動を和らげるクッションの役割を果たします。「面倒くさい」は禁句です!

入浴時間の目安と水分補給

長湯も危険です。

お湯に浸かっている間、体は水圧を受けており、さらに発汗によって水分が失われています。

気付かないうちに「脱水症状」になり、ドロドロになった血液が詰まりやすくなるリスクも。

  • 入浴時間: 全身浴なら10分程度を目安に。
  • 水分補給: 入浴の前と後に、必ずコップ1杯の水か麦茶を飲みましょう。「お風呂上がりのビール」は最高ですが、水分補給にはなりません(利尿作用で逆に脱水します!)。お酒を飲む前に、まずはお水を。

薬剤師が教える「危険なタイミング」リスト

以下のような時は、入浴を控えるか、シャワーだけで済ませる勇気を持ちましょう。

状況理由推奨アクション
飲酒直後アルコールで血管が広がり、入浴でさらに血圧低下。失神リスク大。酔いが覚めるまで待つ。シャワーのみにする。
食後すぐ消化のために胃腸に血液が集まっており、脳や心臓への血流が不安定に。食後1時間以上空けてから入浴する。
睡眠薬等の服用後眠気やふらつきで、浴槽内での溺水事故につながる恐れ。入浴は薬を飲む「前」に済ませる。
体調不良時発熱や激しい疲労がある時は、入浴自体が体力消耗になる。無理せず体を拭く程度にするか、休む。

油断禁物!お風呂だけじゃない「トイレ」や「廊下」の罠

ここまでお風呂の話をしてきましたが、実はヒートショックは「家中の寒い場所」ならどこでも起こりえます

特に見落としがちなのが、トイレです。

夜中のトイレが危ない!ブルっと震えたら要注意

冬の夜中、暖かい布団から抜け出してトイレに行く時。

「さむっ!」と震えながら廊下を歩き、冷え切ったトイレに入る…。

このシチュエーション、お風呂と同じくらい危険なんです。

トイレでは、さらに別のリスクが加わります。

それは「いきみ」です。

排便の際、「んっ!」といきむと、一時的に血圧がグンと上がります。

寒さで血管が縮んでいるところに、いきみで圧力をかけるわけですから、血管にとってはたまったものではありません。

トイレで脳出血やくも膜下出血を起こして倒れるケースは、残念ながら少なくありません。

家の中の「寒暖差」をなくす工夫とは

お風呂場同様、家全体の「温度のバリアフリー化」を目指しましょう。

  1. トイレの暖房:
    • 狭い個室用の小型センサー付きヒーターが便利です。
      人が入るとすぐに温風が出ます。
    • 暖房便座は必須!座った瞬間の「ヒヤッ」を防ぐだけで、心臓への負担は激減します。
      フタを閉めておくと節電にもなり、便座の温かさもキープできます。
  2. 廊下・玄関の対策:
    • 夜中にトイレに行く時は、一枚羽織る(カーディガンやはんてん)習慣を。
      面倒でも裸足ではなくスリッパを履きましょう。
    • 人感センサー付きの照明にしておくのもおすすめ。
      暗い中で転倒するリスクも減らせます。
  3. 居室間の移動:
    • 最近の住宅は気密性が高いですが、古い日本家屋は特に寒いです。
      ドアを開けっ放しにして(暖房効率は落ちますが)温度差を減らす、断熱シートを窓に貼るなどのDIYも効果的です。

もしも家族が倒れていたら…?パニックにならないための緊急対応

どれだけ対策をしていても、万が一の事態は起こりえます。

「おばあちゃん、お風呂長いな…」と思って見に行ったら、浴槽でぐったりしていた。

そんな時、あなたは冷静に動けますか?

一刻を争う事態です!

この手順を頭の片隅に、、、いや、ど真ん中に置いておいてください!

まずは声をかけて!反応がない時の処置

  1. 発見!:浴槽でぐったりしている、または洗い場で倒れている家族を発見。
  2. 意識の確認:大声で「大丈夫!?」「わかりますか!」と呼びかけながら、肩を叩きます。
  3. 反応がある場合
    • 無理に動かさず、安全を確保して様子を見ます。
    • のぼせているだけなら、水分を取らせて涼しい場所で休ませます。
    • 胸の痛みや麻痺、ろれつが回らないなどの症状があれば、迷わず119番です。

浴槽で溺れていたら?お湯を抜くのが先決!

反応がない(意識がない)場合は、一刻も早い対応が必要です。

特に浴槽内で溺れている(顔がお湯に浸かっている)場合は、窒息死を防ぐ必要があります。

【緊急対応フローチャート】

  1. 119番通報!
    • 一人ならスマホでスピーカーにして通報しながら処置。家族がいれば「救急車呼んで!」と叫びます。
  2. お湯を抜く!(超重要)
    • ここがポイントです!意識のない大人は非常に重く、濡れた体を引き上げるのは至難の業です。
      無理に引き上げようとして救助者が腰を痛めたり、一緒に転倒したりする二次被害が多発しています。
    • まずはお風呂の栓を抜いてください
      水圧がなくなり、顔がお湯から出る状態を確保します。
  3. 顔を確保する
    • お湯が減るのを待ちながら顎を持ち上げて顔を水面から出し、気道(空気の通り道)を確保します。
    • もし可能なら浴槽の縁に頭を乗せたり、自分の膝で支えたりします。
  4. 引き上げられるなら洗い場へ
    • お湯がなくなってから、あるいは複数人で協力できるなら、洗い場に引き上げて平らな場所に寝かせます。
    • 呼吸をしていない場合は、救急隊が来るまで胸骨圧迫(心臓マッサージ)を行います。

「引き上げられないなら、栓を抜く」。

これを知っているだけで、救える命があります。

焦らず、まずは栓を抜きましょう。

【まとめ】冬をポカポカ安全に過ごすために

いかがでしたか?

ヒートショックは「温度差」という目に見えない敵との戦いです。

でも、敵の正体がわかれば、対策は決して難しくありません。

最後に、今回のポイントをもう一度おさらいしましょう。

・ 【ヒートショック お風呂】の基本
原因は急激な温度変化による血圧の乱高下。死者数は交通事故より多い!
 
・ 5つの対策
☆脱衣所・浴室を事前に暖める(予備暖房・シャワー給湯)。
☆お湯は41度以下、10分以内。
☆かけ湯で心臓に合図を送る。
☆食後・飲酒後の入浴は避ける。
☆水分補給を忘れずに。
 
・ お風呂以外
トイレや廊下も危険地帯。暖房器具や上着で温度差バリアを。
 
・ もしもの時
意識がなければすぐに119番。
浴槽なら「まずは栓を抜く」!

「血圧の薬を飲んでいるから大丈夫」ではなく、「薬を飲んでいるからこそ、より慎重に」なってください。

そして、もしご家族に高齢の方がいらっしゃったら、

「お風呂場、寒くない?」「一番風呂は私が先に入るね」

と、ぜひ声をかけてあげてください。

その一言が、何よりの「薬」になります。

寒い冬を、温かいお風呂と家族の絆で、安全にポカポカ乗り切りましょう!

【参照元・引用元】
記事の信頼性を高めるため、以下の公的機関等の情報を参照しています。
消費者庁:冬季に多発する入浴中の事故にご注意ください! (※1 交通事故との比較データ等)
厚生労働省:浴室内の死亡として報告された事例についての検討
気象庁・日本気象協会:ヒートショック予報