「私、本当に不器用で…」と、目薬をさすたびに落ち込んでいませんか?
目に近づいてくる容器の先に、思わずギュッと目をつぶってしまう…。
その目薬の差し方、実は大切なお薬の効果を半減させている「損する差し方」かもしれません。
でも、もう大丈夫!
この記事では、これまでどんな「簡単」な方法もダメだった方にこそ知ってほしい、目からウロコの「新常識」を伝授します。
失敗するかも、という恐怖心は過去のもの。
あなたにピッタリの方法が必ず見つかり、今日から目薬タイムが驚くほど快適に変わりますよ!
「あるある!」目薬が苦手な人の”ぶきっちょ”あるある劇場

まずはじめに。
もしあなたが「目薬をさすのが苦手だ」と感じていても、決して自分を責めないでください。
私たち薬局の窓口でも、実は多くの方が同じ悩みを打ち明けてくださいます。
あなた一人ではないのです。
きっと、これからご紹介する”あるある”に、思わず「そうそう!」と頷いてしまうはずです。
【第一幕】狙いを定めたはずが…頬を伝う悲しみの涙(?)
鏡の前で、息を止めて、慎重に容器を傾ける…。
今だ!と一滴を落とした瞬間、なぜか薬液は黒目をスルリとかわし、頬をしずかにツー…。
目に入ったのは、ほんのわずか。
ほとんどが涙のように流れていくのを見て、「ああ、もったいない…」と心の中でつぶやく。
【第二幕】強敵、まぶたの自動防衛システム
「今度こそ!」と覚悟を決めて目に近づけるものの、容器の先が見えた瞬間に発動する、まぶたの鉄壁ガード!
ギュッと固く閉ざされたまぶたに、薬液が虚しく弾かれる。
「開けゴマ!」と念じても、体は正直です。
【第三幕】奇跡の命中!しかし、まばたきで全流出
たまに奇跡的に目に命中することがあります。
しかし、その直後、「目に何か入った!」という体の正常な反応により、高速でパチパチパチッ!とまばたき。
結果、さしたばかりの貴重な薬液は、涙とともに目尻からすべて流れ出てしまうのです。
いかがでしたか?
一つでも当てはまったなら、この記事はあなたのためのものです。
これらの「あるある」は、これからご紹介する魔法のレッスンで、すべて笑い話に変わりますよ。
その”あるある”が招く!もったいない&実は危険な3つのコト

先ほどの「あるある劇場」は、微笑ましい失敗談のように思えるかもしれません。
しかし、薬剤師の視点から見ると、実は見過ごせない「もったいない」と「危険」が隠されています。
正しい目薬の差し方を学ぶことが、なぜこれほど大切なのか。その理由を3つのポイントで解説します。
コト①:薬液が涙とサヨウナラ…効果が半減する「もったいない」問題
そもそも、私たちの目が一度に保持できる薬液の量は、約20~30マイクロリットル(0.02~0.03mL)と言われています。
一方で、一般的な目薬は1滴が約50マイクロリットル(0.05mL)。(参考:参天製薬「目薬」に関する正しい知識)
つまり、理論上は1滴でもあふれるくらい十分な量なのです。
「たくさんさせば、もっと効くだろう」と2滴、3滴とさしたり、あふれるほど点眼したりするのは、コップに水を注ぎ続けるのと同じ。
あふれた分はすべて無駄になってしまいます。
さらに、さした直後のパチパチというまばたきは、ポンプのように薬液を涙点(るいてん)という目頭の排水口に送り込み、涙と一緒に排出させてしまいます。
せっかく処方された大切なお薬です。
その効果を最大限に発揮させるためにも、確実に1滴を目にとどめる技術が「もったいない」を防ぐ鍵なのです。
コト②:まつ毛や手から菌が!ボトルが汚染される「不潔」問題
これは、私たちが最もお伝えしたい重要なポイントです。
目薬の容器の先が、まつ毛や指、まぶたに触れていませんか?
私たちの体には、常在菌と呼ばれる多種多様な細菌が存在します。
これらは普段は無害ですが、一度目薬の容器の中に侵入すると、薬液の中で繁殖し、ボトル全体を汚染してしまう可能性があります。
汚染された目薬を使い続けることは、目に細菌を直接植え付けているようなもの。
結膜炎などの感染症を引き起こす原因となり、治療のために使っているはずの目薬が、逆に病気の原因になるという本末転倒な事態を招きかねません。
多くの目薬には防腐剤が含まれていますが、その効果は万能ではありません。
一度侵入した大量の細菌を完全に抑え込むことは困難です。
「容器の先は、絶対に目に触れさせない」。
これは、目薬を使う上での鉄則です。
コト③:容器の先で目を「コンッ」…角膜を傷つける「危険」問題
手が震えたり、距離感がつかめなかったりして、容器の先で黒目(角膜)の表面を突いてしまった経験はありませんか?
黒目の表面を覆う角膜は、光を通すための非常にデリケートな組織です。
硬いプラスチックの先で触れると、角膜びらんや角膜上皮剥離といった、表面に傷がつくトラブルの原因になります。
軽い傷であれば数日で自然に治ることがほとんどですが、痛みやゴロゴロ感、充血などの不快な症状を伴います。
また、傷口から細菌が侵入すれば、重篤な角膜感染症に発展し、視力に影響を及ぼす可能性もゼロではありません。
「ちょっと触れただけ」と軽く考えず、目に容器を近づけること自体のリスクを理解し、安全な距離を保つ方法を身につけることが、あなたの瞳を守ることに直結するのです。
これぞ決定版!苦手が得意に変わる魔法の差し方レッスン

お待たせしました!
ここからは、先ほどのような「もったいない」や「危険」をすべて回避できる、魔法のような差し方をご紹介します。
あなたにピッタリの方法が必ず見つかるはずです。さあ、一緒にレッスンを始めましょう!
【始める前の共通ルール】
どの方法を試す前にも、必ず石鹸で手を洗い、清潔なタオルで水気を拭き取ってくださいね。
メソッド①:手がプルプルしない!超安定『げんこつ点眼』


手が震えてしまったり、容器が目に近づくのが怖かったりする方に、まず試してほしいのがこの方法です。
抜群の安定感で、点眼の恐怖心を劇的に減らしてくれます。
- STEP 1:目薬を持つ
親指と人差し指で目薬の容器をしっかり持ち、残りの指(中指・薬指・小指)で軽く「げんこつ」を作ります。 - STEP 2:げんこつで土台を作る
作ったげんこつを、目薬をさす方の目のすぐ下の頬骨(ほおぼね)の上に、ぐっと固定します。
これが揺るぎない土台になります。 - STEP 3:下まぶたを引き下げる
げんこつで頬を支えたまま、薬指や小指を使って、下まぶたを軽く下に引き下げ、「あっかんべー」の状態を作ります。
ここに薬液を落とすポケットができます。 - STEP 4:天井を見て、一滴!
顔を真上に向け、天井の一点を見つめます。
こうすると、容器の先が視界に入りにくくなり、恐怖心が和らぎます。
狙いを定めて、そっと容器を押し、1滴をポケットに落とします。
手と顔が固定されているので、ほとんどブレません!
メソッド②:狙いを定めやすい!『指さし点眼(両手点眼)』

「げんこつが作りにくい」
「もっとピンポイントで狙いたい」という方には、こちらの方法がおすすめです。両手を使うことで、驚くほど正確に点眼できます。
- STEP 1:目薬を持つ
利き手で、ペンを持つように軽く目薬を持ちます。 - STEP 2:反対の手で「指さし」を作る
点眼しない方の手で、人差し指を立てて「指さし」の形を作ります。 - STEP 3:下まぶたを引き下げ、手を固定
その人差し指で、下まぶたを軽く引き下げます。
そしてここがポイント!目薬を持っている方の手の手首あたりを、立てている人差し指の上に乗せて固定します。
両手が一体化し、支えになります。 - STEP 4:狙いを定めて、一滴!
下まぶたに作ったポケットをめがけて、そっと1滴を落とします。
支えがあるので、狙いが非常に定めやすくなります。
お子様への挑戦:いやがる子もニッコリ?愛情たっぷり点眼術

小さなお子様への点眼は、多くの親御さんが頭を悩ませる大仕事ですよね。
力ずくでやろうとすると、お子様はもっと頑なになってしまいます。
大切なのは、恐怖心を取り除き、楽しいイベントに変えてあげる工夫です。
- STEP 1:心の準備編 「目薬は怖くない」を伝えよう
- 楽しい声かけ:
「目の中のバイキンマンをやっつける、ヒーローのお薬だよ!」「キラキラお目々になる魔法だよ!」など、お子様がワクワクするような言葉で誘ってみましょう。 - お人形で練習:
大好きなお人形やぬいぐるみに「〇〇ちゃん(ぬいぐるみ)、お目々かゆいのか〜。先生にお薬入れてもらおうね〜」と言いながら、点眼の真似事を見せてあげると、心の準備ができます。
- 楽しい声かけ:
- STEP 2:実践編 「安全第一」の体勢で
- ひざの上作戦:
親御さんが床に座り、その膝の間に枕を置いて、お子様を仰向けに寝かせます。
親御さんの両足でお子様の体を優しく挟むと、体が動かず安定します。 - 寝ている隙に作戦:
どうしても起きていては無理な場合、お子様が寝入った直後を狙うのも一つの手です。
そっと下まぶたを下げて1滴。 - びっくりを減らす工夫:
冷蔵庫で保管している目薬は、使う前に数分間、清潔な手で容器を握って人肌に温めてあげると冷たさによる刺激を減らせます。
- ひざの上作戦:
- STEP 3:アフターケア編 「頑張ったね!」で締めくくる
上手にできても、泣いてしまっても、終わったら必ず「よく頑張ったね!」「えらかったね!」と思いっきり褒めて、ぎゅっと抱きしめてあげてください。
「目薬=嫌なこと」ではなく、「頑張ったら褒めてもらえる嬉しいこと」というポジティブな記憶で終わらせることが、次への一番の架け橋になります。
これで完璧!目薬効果を最大限に引き出すためのQ&A

正しい差し方がわかったところで、さらに効果を高めるための細かい疑問にお答えします。
Q1. 目薬が2種類以上あるけど、順番や間隔は?
A1. はい、とても重要です!
まず、医師から指示がある場合は、必ずそれに従ってください。
特に指示がない場合、一般的なルールは以下の通りです。
- 順番:
サラサラした水性のものから先にさし、懸濁性(けんだくせい:振ってから使う白く濁ったタイプ)やゲル状・軟膏タイプのものは後に使います。
- 間隔:
必ず5分以上あけてください。
先にさした薬がしっかり吸収される前に次の薬をさすと、洗い流されてしまい、効果が薄れてしまいます。
(参考: 日本眼科医会「目薬の使い方」)
| 種類 | 特徴 | 使う順番 |
| 水性点眼液 | 透明でサラサラ | 最初 |
| 懸濁性点眼液 | 白く濁っている(要・振とう) | 中間 |
| ゲル化点眼液 | 目に入れるとゲル状に固まる | 最後の方 |
| 眼軟膏 | 油性でベタベタする | 一番最後 |
Q2. さした後は、パチパチまばたきしちゃダメ?
A2. はい、ダメなんです!
気持ちはわかりますが、まばたきは薬液を涙と一緒に排出するポンプの役割を果たしてしまいます。
正解は、点眼後、静かにまぶたを閉じ、目頭を1分ほど軽く押さえること。
これにより、薬液が涙点から鼻へ流れ出るのを防ぎ、目の表面にしっかりとどまらせることができます。あの独特の苦味を感じにくくなるというメリットもありますよ。
Q3. コンタクトレンズをしたままでもいい?
A3. 原則として、コンタクトレンズは外してから点眼してください。
防腐剤などの成分がレンズに吸着し、角膜を傷つけたり、レンズを変質させたりする可能性があるためです。
点眼後、10分~15分ほど経ってからコンタクトレンズを装用するようにしましょう。
ただし、コンタクトレンズをしたまま点眼できる人工涙液タイプの目薬や、医師から特別な指示がある場合は除きます。
うっかり忘れない!目薬を味方にするための3つの習慣

正しい差し方をマスターしても、さし忘れてしまっては元も子もありません。
毎日決まった時間に続けるための、簡単な習慣化のコツをご紹介します。
- 行動とセットにする「ついで記憶術」
「朝起きたら」「食事が終わったら」「歯を磨いたら」「寝る前に」など、毎日必ず行う行動と目薬をセットにしてしまいましょう。
「〇〇したら、目薬」と決めておくと、体が自然に覚えてくれます。
- 目につく場所に置く「定位置作戦」
目薬の保管方法(冷所保存など)を守った上で、洗面所や食卓の上、枕元など、必ず目につく場所に「定位置」を決めましょう。
ただし、直射日光が当たる場所や高温になる場所は避けてくださいね。
- 家族やテクノロジーを頼る「リマインダー術」
「〇時になったら声をかけて」と家族にお願いしたり、スマートフォンのアラームやリマインダーアプリを活用したりするのも非常に有効です。
自分一人で頑張ろうとせず、周りの力も上手に借りましょう。
まとめ 「ぶきっちょ」卒業!あなたに合う簡単な差し方で自信を手に入れよう

最後までお読みいただき、ありがとうございます。
もう、あなたは「目薬が苦手なぶきっちょさん」ではありません。
目薬の簡単な差し方には、あなたの手の形や感覚に合った、いくつかの正解があることをご理解いただけたはずです。
- 安定感抜群の「げんこつ点眼」
- 狙いやすさピカイチの「指さし点眼(両手点眼)」
- 愛情と工夫で乗り切る「お子様への点眼術」
これらの新しい知識と技術は、あなたのものです。
もう薬液を無駄にすることも、目に怖い思いをさせることもありません。
正しい方法を身につけることは、お薬の効果を最大限に引き出し、あなたやあなたの大切な家族の瞳を、未来のトラブルから守ることにつながります。